台湾で次々と発覚する中国による選挙介入
台湾の選挙については、過去においても中国によるさまざまな選挙介入が試みられてきた。
その内容は、親中派候補への政治献金、中国に進出する台湾企業の懐柔、経済的・軍事的圧力、プロパガンダなど、多岐にわたる。
このような多種多様な選挙介入への対抗策として、台湾では「反浸透法」が2020年1月に施行されている。
同法は、台湾への浸透・介入を企てる者の指示や委託あるいは資金援助を受けて、政治献金をしたり、選挙活動に携わったりすることを禁じているほか、ロビー活動やディスインフォメーション(意図的に流布される虚偽の情報)を散布し選挙を妨害することも禁じている。
台湾最高検察署は、反浸透法関連の捜査件数が昨年1年間で85件に上ったと発表しており、中国による選挙介入の激しさと台湾の防諜意識(能力)の高さが見て取れる。
日本における選挙介入で特に懸念すべきは地方
台湾に対する選挙介入と同様のことを中国は日本に対しても行うことは可能なのだろうか。
まず、日本は自民党の一党優位のため、有権者が政権選択を迫られる台湾と事情が異なる。
中国としては、自民党を下野させることは難しいため、むしろ、自民党内での離間(分断)工作や影響力工作を画策する中で、長期的に政治中枢に親中派議員を育成する手法が効果的であり、これには当然野党に向けた作業も含まれる。
特に親中派議員の育成において、懸念されるべきは“地方”だ。
中国としては、“中央”内の離間工作などに加え、“中央”と“地方”の離間工作も行う。“地方”でも同様に親中派を育て上げ、例えば首長に親中派を置くなどの手法で影響力を行使する。“地方”においては一定程度成功している部分もある。
しかし、これだけ政治工作が“ある”と述べておきながら、日本のインテリジェンス・コミュニティーに外国勢力による政治工作として認定・裏付けられた事例は極めて少ない。
中国に関しては、李春光事件(2012年)のような中国人民解放軍総参謀部第二部の関与が裏付けられた事件、ロシア(ソ連)で言えば、レフチェンコ証言やミトロヒン文書などに古いものに限られている。
それは、日本のインテリジェンス・コミュニティーが一定程度把握しつつも公にしていない/できていない部分があると推察され、ここに一つの問題があると考える。
では、日本は中国による政治工作にどう対抗すべきか。
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