中国では反スパイ法が改正され、7月1日に施行された。
改正により、国家の安全と利益に関わる情報を窃取する行為が、新たにスパイ行為の定義に加わるなど対象範囲が拡大され、恣意的運用による摘発の強化が懸念される。
反スパイ法改正の8つのポイント
改正反スパイ法では、その目的において注目すべき文言が追加された。
「反スパイ工作は、共産党中央の集中統一指導を堅持し、総体的国家安全観を堅持し、~中略~国家の安全のための人民防衛線を構築しなければならない(2条)」とし、「総体的国家安全観を堅持」することをその目的に掲げたのだ。
総体的国家安全観とは、2014年4月15日、国家安全委員会が設立された際に習近平が提唱した国家安全保障の概念で、政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核などを掲げ、中でも「政治の安全(=体制の安定)」が最重要であることが示唆されている。
習近平は、旧共産圏諸国において政権が市民の抗議活動によって崩壊した「カラー革命」を例に、西側諸国の価値観に強い警戒感を示しており、そういった背景において、今回の法改正でも、中国の総体的国家安全観の堅持(体制の安定)に向けた決意が見える。
以下、改正反スパイ法について、注意すべき8つのポイントを記載していく(文量の関係上、全て記載はできない旨を断っておく)。
1.定義の拡大(4条1項)
まず、現行法にある“国家機密”に加え、「そのほかの国家安全と利益に関係する文書、データ、資料、物品」を対象に含むと定義し、さらに「重要な情報インフラの脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報」もスパイ行為の対象であると規定している。
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