
<米中関係の主軸は、経済・貿易へ>
第2次トランプ政権はバイデン前政権に引き続き中国に厳しい姿勢を示すが、その焦点は軍事だけでなく経済や貿易にさらに比重が置かれる見通しである。
国務長官にマルコ・ルビオ、安全保障担当補佐官にマイク・ウォルツ、通商・製造業担当上級顧問にピーター・ナバロを起用した人事からも、関税を最大の武器とする対中強硬策が継続・強化されることは確実である。
現時点で中国製品への追加関税を10%とする方針が示されているが、第1期トランプ政権のように段階的制裁を実施していく恐れがあり、中国で生産を行う日本企業への影響が広範に及ぶ懸念がある。
<日米関係>
日米関係は石破総理とトランプ大統領の協力関係がどこまで深まるかに左右されるが、伝統的同盟国だからといって関税措置から免れる保証はない。
トランプ大統領は政権1期目に日本の自動車・部品への関税をちらつかせた前例がある。トランプ大統領は、米国の貿易赤字国を強く意識していることが考えられるが、日本は上位に位置している。
今後は米国の貿易赤字国という視点で日本を標的に関税を武器として活用してくる可能性もある。
更に、防衛費をGDP比3%以上へ増額させる交渉カードとして再度用いる可能性もある。
<まとめ>
日本は米国最大の投資国としてMAGAに貢献している面を強調し得るが、トランプ流の政策は予測不能な部分が多く、米中対立の激化や台湾情勢の緊張と併せて、一層慎重なリスク管理を求められる状況である。
※理事・和田大樹の論考「第2次トランプ政権が発足_日本企業が想定しておきたい3つの地政学リスク」より要約